逆転現象を起こしている管理職は残業代を請求できる

時間外割増賃金を支払わなくてもよいとされている管理職(※正確には労基法第41条2号に該当する「管理監督者」)を判断する際のポイントは以下の3つです。

1.職務内容、権限と責任が相応
2.出退勤時間について厳格な管理を受けない
3.地位にふさわしい待遇

3番目の地位にふさわしい待遇については3つの中では付随的な要件であり、たとえかなり高額の給与・賞与が支給されていた場合でも必ずしも管理監督者として認められるとは限りません。必要条件であって、十分条件ではないのです。

逆にふさわしい待遇がないと判断された場合には、どんなに他の条件を満たしていても管理監督者として認められるのは厳しいといえます。地位にふさわしい待遇とはつまり、非管理職のうち残業代を含めた賃金総額が最も高い労働者に比べ、なお相当の格差があることが求められます。数万円程度の差では相当の格差とはいえません。

まして管理職の賃金が残業代が支給されなくなったがために非管理職の賃金に逆転されてしまっているケースなどは、まず管理監督者としては認められず、役職が部長であろうが本部長であろうが法律上は平社員と変わりませんので、その間の残業代は全て請求できるものと考えられます。

一般的には課長職に昇進した際の逆転現象というのは本当によく聞く話であり、皆これが現実であり当然なのだという空気があります。将来の出世と引き換えに逆転されている時期を我慢するというのも一つの選択ですが、相応の賃金を支払わずに役職を付けて不当にサービス労働を強いたり責任を負わせたりする会社の意図が感じられるので残業代をきっちり請求したいということであれば、逆転現象の証拠となる自身の給与明細に加え非管理職の給与明細まで確保しておくとよいと思います。



労働者からの相談は「労働トラブル相談所」まで