退職前の有給休暇を認めないといわれたら

退職願を会社に提出して退職日の日程も決まり、さあ未消化の有休を消化しようかと思って上司に申し出たら、有休は認めない、残りの出勤日数でみっちり引継をしてもらう、と言われてしまった。よく聞く話です。

有休は会社の許可や承認をもらってはじめて取得できる休暇ではありません。労働者に当然に認められる権利なので、会社に申し出さえすれば好きな時に取得できます。必ずしも所定の届出用紙を出す必要もありませんし、利用目的を報告する義務も本当はありません。

例え有休を取得することによって引継が終わらなかったとしてもそれは会社のマネジメントの問題であって労働者に責任はありません。


現実的に考えて、残された出勤日をすべて有休に充てるのはさすがにトラブルの原因になる可能性が高いと思われるで、常識の範囲内でまとまった日数を消化するのがよいでしょうが、あくまで会社が強行に拒否する場合には、メールなどの証拠に残る方法によって有休を取得する意思を会社に通知すれば承認なしで取得しても法的に問題はありません。

仮に休暇を取得した日について、会社が無断欠勤を主張してその分を給料から控除した場合には、そこではじめて労働基準法第37条(年次有給休暇)違反が成立しますので、労働基準監督署にその旨を申告できます。この時の為に給与明細書を含め証拠を揃えておくのがよいでしょう。


会社には時季変更権が認められており(※事業の正常な運営を妨げる場合には有休を他の日に変更できる権利)、会社は時季変更権を主張してくることも考えられますが、退職日を越えての変更権は行使できません。


また、「有休をとるなら明日からもう来なくていい」などと言われるなど退職日を早められてしまった場合はどうでしょうか。

これは退職願を提出した時点で退職日が確定しており、それより早い日程の退職日を会社が一方的に通告してくればこれは解雇と考えられます。解雇なのかどうかを確認し、解雇でないと回答してくるのであれば退職日の変更を拒否することが可能です。無論解雇を主張してくるのであれば、正当な解雇なのかどうかという論点に進んでいきます。



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