残業代の算定基礎に入れたくないから支給を2ヵ月に一回に変更

残業代を計算する時の算定基礎から除外できる賃金というのは法令で決まっています。

具体的には以下です。

1.家族手当
2.通勤手当
3.別居手当
4.子女教育手当
5.住宅手当
6.臨時に支払われる賃金
7.1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

※考え方としては、仕事に関係のない生活給的な手当は除外するということです。


これ以外は駄目です。除外は許されません。会社が勝手に「これは除外」と決めても法的には無効です。たまに基本給だけを基礎に計算している会社もありますが論外です。


そして、最近こんな相談を受けました。どう考えても算定基礎に入れるべき手当なので労働者が会社に指摘をしたところ、それまで毎月支給されてきた手当を、2ヵ月に一回、2ヵ月分を支給する隔月支給に変更してきたということです。

つまり会社としては隔月支給にすれば「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当するので、残業代の算定基礎には入れなくてよいという理屈なのでしょう。

ただし、その理屈は通りませんが。

そもそも賃金というものは月に1回、一定期日に支給しなければならないということが法律で決まっています。(労働基準法第24条)

それでは「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは何のことを指しているのかといえば、賞与や精勤手当、勤続手当、奨励加給など、金額の算出の為に1箇月を超える期間を要するものであり、計算対象期間が1箇月を超える期間であるため計算技術上の理由から残業代の算定基礎には算入できないということなのです。

先ほどの「2ヵ月に1回支給に変更された手当」は、もともと支給額が確定しているのですから、当然毎月支払わなければならないのです。


残業代の算定基礎を低く抑えたいから手当の支給を隔月に変更するなどという脱法行為は、労基法第37条(割増賃金)に違反する以前に、労基法第24条
に明確に違反するということです。




労働者からの相談は「労働トラブル相談所」まで