会社から離職票をもらえない

退職時に会社との間で何らかのトラブルがあると、離職票をなかなか交付してくれないというケースがあります。

会社が離職票を発行してこない原因はいくつか考えられますが、

1.単純に忘れている、あるいは事務処理が遅い
2.退職理由が自己都合か会社都合かについて争いがあって社内手続きがストップしている
3.労働者への嫌がらせで離職票を作成しない

ということが考えられます。

再三会社に交付を要求しても応じない場合どうしたらよいのかを考えてみます。



まず前提として、会社は労働者の離職日の翌日から10日以内に離職票を含む資格喪失の届出をハローワークに対して行わなければなりません(雇用保険法第7条)。そして、これに違反した場合は「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が定められています(雇用保険法第83条第1項)。

ただし現実には上記の罰則が適用されることは滅多にありませんので、まずはハローワークの窓口へ行き、会社が離職票を交付してくれない旨を相談します。ハローワーク担当者から会社側に直接連絡がいき、提出を促してもらうことによって解決する場合もあります。



さて、ハローワークからの指導によってもなお会社から離職票が交付されない場合には、おそらく会社側に動いてもらうのは難しいかもしれません。そこで検討するのが、ハローワークの職権によって離職票を発行してもらう方法です。

正確には「被保険者でなくなったことの確認」をハローワークに対し請求します(雇用保険法施行規則第8条)。この場合、ハローワーク側から離職を証明するための様々な書類を求めらることになります。

そして、上記により被保険者でなくなったことの確認がされた場合で会社が手続きを取らないときは、公共職業安定所長(ハローワークの所長)が本人に対し直接離職票を交付することが可能なのです(雇用保険法施行規則第17条)。



ここで最も難しい問題は、退職日や退職理由について会社側ともめているケースです。これらの見解に相違があると民事の問題になりますので、ハローワークが強行的に確定させることが困難になってきます。

その為そのようなケースに備え、退職の際には書面や録音など退職時の状況を示す証拠を備えておくことが重要になります。自己都合にて退職するのであれば、退職届(※退職願ではなく)を内容証明郵便で会社宛に送るという方法も1つの選択肢だと思います。




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